2012年2月14日
私がチベット難民キャンプに行っていた頃、大介君はデリーのメインバザールを歩いていたらしい。
有名な日本人の物乞い
大介くんが歩いていると、後ろから日本語で声をかけられた。
「あのお〜日本人の方っすか〜?」
振り返ると、ボロボロの服を来た物乞いだった。
日本語うまいな〜と思っていたら、日本人だったらしい。
でも日本人に見えないくらいに、肌は浅黒く焼けていて、身なりはボロボロだったらしい。
しかも、彼の話し方はちょっと不良っぽいというか、アホっぽい若者風だったという。
「あのぉ、自分、実はぁ、昨日暴漢に襲われちゃってぇ」
と話しだした。
彼の話によると、
昨日突然暴漢に襲われてしまい、荷物もパスポートも航空券もお金もすべて盗まれてしまった。
それで、どうすることも出来ずに困っているので、少しお金を貸してくれないか?
ということらしい。
大介君は、
「日本大使館に連絡した方が良くないですか?」
と言ったが、
「実はぁ、大使館には連絡して〜、家族に連絡してもらって、お金を送金してもらうことになってるんすけどぉ、それまで時間かかるらしくて〜まじで昨日から何にも食べてないし、死にそうなんですよお。
お金は送金されたら必ず返すんで、ちょっと貸してもらえませんか?」
そもそも昨日今日暴漢に襲われた様な身なりには見えなかったが、異国の地で日本人がこんなことしてるなんて・・・
と、ちょっと可哀想になってしまったらしい
大介くんは、お金はあげるつもりで、
「自分もそんなに持ち金がないんで貸せませんけど、これだけなら・・・」
と行って、200ルピーを渡した。
まさかお金を貰えるとは思っていなかったのか、物乞いの彼は、
「え?エ?マジっすか?え?まじ、あざーす。
ちゃんと、お金は返すんで!
あの、日本大使館に届けるんで、それでちゃんと返せるんで、あざーす」
と言いながら、あっという間に消えたらしい。
日本大使館に届けると言っていたが、お互いの名前すら知らないのにどうやって返すつもりなんだろうか。
実は、この日本人の物乞いは結構有名らしい。
他にも何人かの日本人旅行者が遭遇したと話していた。
まぁ、特に何をされるわけでもないんだけど、ちょっと複雑な気持ちになる話だった。
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